銘機 MARANTZ #7メンテナンス/レストア

2013 年末 写真特集

 

マランツ プリアンプ往年の銘機 MARANTZ #7

のメンテナンスを請け賜りました。  

マランツ プリアンプMARANTZ #7は

往年の銘機 といいましても、

もちろん現在でも第一線で音楽再生ご使用の

ビンテージ・オーディオ・ファンのオーナー様は多いです。

ですが、製造から年月が経っている為、ほとんどオリジナルの完動状態のものは皆無に近いと存知ます。

偶然、二ヶ月前にかなりオリジナル仕様の#7(バンブルビー、セレン整流器、茶ノブ、テレフンケン・ダイヤ、10,000番台)の美品が入荷し取引させていただきましたが、それほどの品でもメンテナンスが過去に皆無ということは無いのだろうと思います。

それではお預かりしたMARANTZ #7を診て見ましょう。

木製ラックからアンプ本体を外し・・

天板を開けて見ました。

カップリング・コンデンサーが並ぶ一番よく見る基板です。

セレン整流器が 使用されているので オリジナルの古いモデルですが

過去の何度かの修理によって 沢山のカップリング・コンデンサーがオリジナルから、変遷しているようです。 

測定したところ、最後の砦のバンブルビー・コンデンサーからDC漏れが発見されました。 

通電して直ぐは正常なのですが、しばらく通電しているとリークし始めるようです。 残念、

放置すると、ノイズや真空管にもダメージを与えてしまいます。

今度は底板も外してみたところ真空管のソケットに直付けしてあるコンデンサーも、オリジナルとは変わっていました。

この写真でお気付きの方や既にご存知の方もいらしゃると思いますが
#7の真空管ソケットはリベットで装着してあるのですよ・・

天板側から全体をみると、左隅にB電源に使われているセレン整流器(緑色)が見えます。

底板側からみた真空管ヒーター電源はというと

残念、セレンからブリッジ・ダイオードに変わっています。(黄色配線部分)

あと最左下にみえるコンデンサーも、2箇所チェンジされています。

真空管につきましてはテレフンケンではないですが、ムラードあたりが付いていて状態も良いので、今回は回路ベースのメンテに特化する方向で進めたいと思います。

さて、再生プランですが、各スイッチ、ソケット分解掃除などもちろん行った後、問題のカップリング・コンデンサーの交換です。

一部、正常なブラック・ビューティーなどを残す方法もありますが、

オーナー様と協議の末、今回は思い切ってオイルコン総入れ換えと決定しました。(JENSEN やオレンジドロップ、はたまた一部WEまで検討いたしましたが)

最新の品質が向上しているオイル・コンデンサーの米Arizona Capacitors社製 オイル・コンデンサー

のMarantz プリアンプ #C-7 交換用セット Arizona Capacitors Type“C50309” 片ch8本×2計16本 に交換します。

上記のヒーター用のブリッジ・ダイオードは 高速、低ノイズのファーストリカバリーへ交換します。

一部 部品を取り寄せるのに3~4日経過

ここからはリストア後です。

Arizona Capacitors Type“C50309” ⇒開発者解説

左から0.22μF(600v)×4  0.47μF ×2  0.1μF ×2 などです。  サボテン・マークがそうです。

オイル・コンデンサーは普通のコンデンサーよりも 大型になるので、作業も考えて配置が必要になります。

狭いスペースの縦にも2個 0.01μF(600v)×2

“C50309”はサボテンマーク側のリードが外側の電極(アウトサイド・フォイル)に接続されています。  

グランド側にこのサボテンマーク側を接続することで、シールド効果が得られますので

コンデンサーの巻き始め、巻き終わりなども考慮にいれた配線にいたしました。

底板側も
ソケットに0.01μF(600v)×4   左下に0.33μF(600v)×2   左上にファーストリカバリー用のラグ板を取り付けて完成しました。

全ての測定、音だし、エージング・テストを 終えて 今回のレストア完成です。

パワーアンプに300Bシングルのアンプを使用、

ソースはSONY ハードディスクオーディオプレーヤー HAP-Z1ES で

スピーカーKRIPTON KX-3PⅡを鳴らし、オーナー様に完成ご試聴 頂きました。

オーナー様に非常に気に入って頂いた様なので、大変良かったです。

「クラシック、ジャズ両方ともに鳴ってくれて、今から自宅での試聴が楽しみになった。」
とおっしゃっていました。

音の面では、 これから更にエージングという魔法がかかって来るのは間違いありません。

 

今回のMARANTZ #7に使われている

真空管12AX7/ECC83(双三極管)Mullardについて・・

私自身ムラードの球の音は好きですし現に自宅でも使用もしていますが、 

10曲くらい試聴した中で、1~2曲の器楽曲で
「純正であるTELEFUNKENテレフンケンに換えていたら、更にこんな感じかな」 ウワーッと想像を駆り立てられる曲も確かにありました。

もし換えていたら、いま好く鳴っているCELINE DION セリーヌ・ディオンの声がまたどの様に変わるかはやってみなければ分かりません。

これはもうお好みなので、オーナー様とご相談のうえ将来のお楽しみに・・

 

有難う御座いました。

忙しかった2013年も暮れていきます。 

 

2014 /5 /8 追記

記事のなかでの使用コンデンサー
Arizona Capacitors Type“C50309 Blue Cactus”に姉妹機登場

Arizona Capacitors Type“C50313 Green Cactus” 

 

2020/2追記

2013/12に書いた上の記事は私が書いた割にはそれなりにまとまっていて(笑)
ややこしく難しい話はこのサイトではしたくなかったのですが(さわやかにまとまっている印象を台無しにする気か・・ 笑)、

上記の真空管メーカーの話をもう少し広げて書きますと、
TELEFUNKENだMullardだRCAだSiemensの音は・・とか単純に語ることは出来ません。

何故ならそれらの球のヒーター回路がACヒーター、DCヒーターと全然違い、DCヒーターの中でも整流にセレン使用、ダイオード整流(この中でもいろいろ)、フィルターのコンデンサーの容量、コンデンサー・メーカー、更にはコンデンサーがフィルム・コン、オイル・コン、電解コン、更には定電圧回路レギュレーターの有、無などで球の音は全然音が変わってくるからです。

初めて自身のプリアンプの12AX7/ECC83でTELEFUNKENとMullardを比較してみたのは43年前のことですが
Mullard→TELEFUNKENに交換するとSN比が上がって情報量が増え、全体のトーンがシルキーになりました。
その一方で低音と躍動感が無くなり、SNは上がったが空間と伸びやかさは引っ込みました。
この時の球交換時の違いも自身が使用していたプリのヒーター回路との相性によって生まれた音の違いです。
TELEFUNKENとMullardを交換すると必ずそのような結果になるというのは間違いだと考えます。
例えばヒーター回路がACヒーターであるQUAD 22で差し替えるとまったく違う結果があらわれると思います。
当時の私のプリよりも間違いなくSN比は下がるが、空間は増え、低音も出て、伸びやかになるのは間違いありません。

良くも悪くも「MARANTZ #7オリジナルにするのだ」ということですとTELEFUNKENダイヤということになるのでしょうけれども

球の偽物、本物などをサーチするのも大事でしょうが、本当に絶対的なTELEFUNKENの音、これがMullardの音と共有されているものは無い為・・行うとしたらTELEFUNKENを使用するためにこんなヒーター回路とパーツにしました・・と言うように回路とセットでの音造りをするしかないと考えています。

このあたりがトランジスタ半導体アンプと違うところかも知れません。)

 

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